★海の莫しさに二十分くらい感動する★  さて、断食前夜は熟睡。朝は全員で練功十八法という健康体操をし、 治療器でマッサージなどを受けて、景勝地の城ヶ崎海岸に続く遊歩道を 十五キロくらい散歩。そのあと自分の部屋でテレビを見たり、温泉に入っ たりして過ごしたが、「階段を走ってのぼれたくらい」の元気は残っていた。  しかし、午後には少しずつ断食の影響が出てきた。持参した本を読もうと 思っても、集中できず、読み進めない。夜も、空腹感で熟睡できなかった。  断食中は、備えつけのイオン水や薬草茶は自由に飲むことができ、玄米酢と 天然酵母をブレンドした「ビネガー酵母液」という特製ドリンクも一日に一本 だけ許されている。このドリンクを飲むと「ちょっとだけカが出る」という。  二日目は、足が重くなった。近くの温泉に入ったとき、フラッときたりした。  「道路沿いの飲食店の看板はかり気になって、水を買うために入った コンビニでも、おでんの匂いが強烈にお腹に響いた」(前川さん)  三日目。ぶつうは、このころから「断食反応」と呼ばれる現象が出てくる。 國田さんによると、身体がだるくなり、独特な倦怠感に襲われる。さらに 腰が悪い人は腰痛、頭を酷使している人は頭痛、暴飲暴食気味の人は 吐き気などをもよおす。  しかし、個人差もあり、前川さんの三日目は「頭がすっきりして、虚脱感 にも襲われなかった」。ただし、夜には、胃が収縮するような痛みを覚え、 三時間はどしか眠れなかった。  こうして三日間の断食が終わったが、じつは最大の難所はこのあとにあった。  断食明けの朝、「補食」と呼ばれる四日ぶりの食事は、梅干し一個と重湯に スープだけ。わずか四十キロカロリーはどの流動食に胃が刺激されて、 「食欲がガーンと呼び起こされ、激しい空腹感に襲われた」。夕食も、 梅干しが二個に増えるだけで、「この日が一番辛かった」という。  これを乗り越えて補食二日目以降は俄然、パワーが湧いてきた。 身体がとても軽く、二十キロの散歩も楽々こなし、海辺の露天風呂では海の 美しさに見とれた。「自然が美しいな、と感じたことは何度もありますが、 このときは二十分くらいも感動していました。こんな経験は初めて。 自分のなかの何かが変わった感じがします」(前川さん)  こうして七泊八日の療養を終えた前川さんは最後に「断食が病みつきに なってしまう人も多いそうですが、確かにそれくらいの魅力がある。 究極のリフレッシュを体験した思いです。また、きますよ」と話していた。